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ダーバン会議20周年記念シンポジウム 「入管法のルーツはレイシズムーーダーバン会議を活かす」 報告

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  ダーバン会議 20周年記念シンポジウム   「入管法のルーツはレイシズムーーダーバン会議を活かす」 報告     ◆日時: 9月12日(日)13:00-15:30   ◆場所:  オンライン( Zoom ウェビナー)   ◆ 主催: ダーバン+ 20:反レイシズムはあたりまえキャンペーン   ◆ 協力: 人種差別撤廃 NGOネットワーク(ERDネット)、Peace Philosophy Centre、市民外交センター       1.  「未完の会議」~ダーバン会議とは何だったのか   基調講演「 ダーバン会議 2001の意味と脱植民地化の課題 ―― 「未完の会議」~ダーバン会議とは何だったか 」  上村英明(恵泉女学園大学)   2001年 8月31日~ 9月8日に 南アフリカのダーバンで開催され、最終日に 「ダーバン宣言及び行動計画」を採択して終了した「反人種主義世界会議(以下、ダーバン会議)」は、 レイシズムと呼ばれる さまざまな 形態の 差別の根本原因を 探り、これに対応することを目的にした画期的な国際会議だった。世界は誰もが差別はいけないというまでになったが、その根本原因を探り、その責任の所在を明らかにしなければならないという問題意識である。  南アフリカは、レイシズムの象徴の一つであった「アパルトヘイト」を1994年に終焉させた土地であり、会場が置かれたダーバンは1948 年 にその制度 が 確立された場所であり、また若きマハトマ・ガンジーが人権活動を開始した場所でもあった。  会議での議題は多岐に渡ったが、主要なものは以下の2つであった。第一に、現代社会の差別の根本原因を近代奴隷制と近代植民地主義と定め、こうした活動が「人道に対する罪」であることを認め、謝罪・賠償・補償の関係を明確にすることである。この関係では、欧米の旧宗主国とアフリカ・カリブ海諸国の対立が鮮明となった。第二は、レイシズムの被害者の再定義である。ここでは、アフリカ系の人、アジア系の人、先住民族の他、人身売買の被害者、 HIVエイズ感染者、マイノリティ、 移住者、職業と身分差別の被害者、その他人種差別とジェンダーなどの交差性や複合性の問題が取り上げられた。さらに、北アフリカ地域はアラブ世界ということもあり、パレスチナ人問題・ユダヤ人問題が取り上げられ、アジアでは、日本の植民地支配の問